【短編】ヒーロー
ドアのそばにおったら、玄関から聞こえる声。
「馬場さん……彼氏いたんですね?」
「え? 颯ちゃんは、彼氏じゃないよ」
当たり前かの様に答える。
やっぱり萌子が言うたんや。
「あ……あの。
もし良かったら……付き合ってもらえませんか?」
そこまで聞いて……テレビのリモコンを急いで取った。
何やねん。
何やねん。
何やねん。
お前は……俺のもんやろ?
俺、お前の彼氏やろ?
違うんかよ、萌子。
ムカムカする胸を、服を掴んだ手で殴る。
痛いだけやん……ムカムカするん取れへんし。
はぁー胸ん中が、いっちゃん痛い。
部屋のドアが開いた。
その瞬間、目が合った俺達……。