手紙





自分がいた砂浜が見えないのだ。





もう、後戻りはできない。





このまま死んでしまうのか、それとも、奇跡が起きるのか。





睦月が再びビンを見たとき、ビンは何かに吸い寄せられるかのように、ゆっくりと沈んでいった。






それを追うように、大きく息を吸い、潜った。




予想以上に深く、息が続かない。





底が見えない。





真っ暗で、でもなぜかビンだけは睦月の目にはっきりと映っている。





このまま追えば、沖田の時代に着くかもしれない。





だが、睦月にも限界がある。





睦月は一気に息を吐き出した。





そして、そのまま意識を手放した。






< 307 / 432 >

この作品をシェア

pagetop