群青
「……本当か?」
「別に信じなくてもいいぞ。俺に落ち度も害もないからな」
「……」
「それより神奈川。早く部活行こうぜ?先輩がうるせんだよ、神奈川はどうしたってさ」
「ん、あぁ」
チラリと時計を見ると結構な時間が経っていた。
これは先輩がめんどくさい事になりそうだ。
僕は鞄を手に取る。
既に教室にはつい数分前の異質な会話の名残はない。
普通の教室である。
「何してんだよ神奈川。早く行くべ」
先に教室から出た大友から掛けられる声に僕は「あぁ」と短く返す。
だけど僕はドアの手前で一度振り返り、教室を見渡した。
夕日の赤と、影の黒に染まる教室。
普遍的な何でもない教室を僕は、後にした。
★ ★ ★