執事と共に雪遊びを。
「カシラも、シラヤナギ先生も、心配してっからな」

「大旦那様と、シラヤナギ様も」


春樹の驚きの声に、恵理夜も頷いた。


「ええ、お祖父様も叔父様も、待ってらっしゃるわ」


お祖父様――恵理夜がそう呼ぶのは、マナベ達の組長《カシラ》のことだった。

マナベが手を伸ばすと、裾から鮮やかな刺青が覗いた。

カタギのものには無い、極道の証だ。

恵理夜は、極道の組長《カシラ》の孫娘であった。

しかし、恵理夜は家とは関係ない、普通の女子高生であった。

恵理夜の執事である、春樹も必然的に極道の者ではない。
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