執事と共に雪遊びを。
「これは……」


――窓に、文字が、書かれていた。

結露に、指で書いたような文字。


「一体、誰が……」


恵理夜達が帰ってから、看護士以外の誰もこの部屋には訪れていない。

それに、窓際に寄せられたこのベッドの向こう側にも立っていない。

誰も、窓には触れていないのだ。

そして、深夜に個室であるこの部屋に誰かが入ってくれば、就寝中であれ、春樹なら気づくはずだ。

そう、深夜の間この部屋は、――


「密室だ」
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