執事と共に雪遊びを。
「その方と会ったのはいつごろでしょう」

「1週間ほど前かしらね。それから、いいことが続いたわ」


1週間ほど前では、恵理夜の可能性は低い。

免疫の低い恵理夜は、春樹との面会を禁止されていたからだ。


「いいこと?」

「ええ。私、4人部屋の一番窓際のベッドなんだけど、朝起きたら窓の外にお花があったの。窓ガラスに言葉も添えられて」


春樹は目を見張った。


「それから、しばらくお見舞いに来てくれなかった孫が、久しぶりに会いに来てくれたのよ」


ほほほ、と上品に、とても嬉しそうに老婦人が笑った。
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