幕末恋模様~時を越えて~
二章~新撰組~

* * *

今どうなってるかって…?
どうもこうも、なんで私の上に奴がいる?
誰か状況説明してくれ。


「おはよう。君が起きないからどうしようかなって。」
「総司、お前っ!」


殴りかかろうとする手を床に縫(ぬ)い止める。
もがいても男の力には杏里でも叶わなかった。


「放せよ!」
「放したら殴るでしょ?」
「くそっ、土方さん!見てないで朝から
盛ってるこの馬鹿どうにかしてくださいよ!」


襖に寄りかかってこちらを見ながらニヒルに笑っていた。
そもそもなんでこんな状況かっていうと、
それは昨日に戻る。


「あんたは新撰組の沖田総司!?」

木の影から現れたのは浅葱(あさぎ)色の羽織りを羽織った彼だった。


「へぇ。俺のこと知ってんだ。こんなとこで何してるの?
ここはあんまり人が来ないところなんだけど。」

勢いよく斬りかかる。にっこりと笑っているが目が笑ってない。

くそっ早い!
弾き飛ばされる…!


「かはっ…!」
「見るからにどこかの道場の門下生?長州の間者って感じしないし。」


痛ってぇ…。普通斬りかかる?!
ちっ…どう答える。
このまま黙ってんのもマズいしな…。
黙ってたら私が殺られる。


「まぁいいや君、名前は?とりあえず屯所で話を聞くよ。
部下も待たせてるしね。」
「南…杏里。ってか、斬らないんだ。」
「やめてよ。人を辻斬りみたいに。
女の子をこんなとこに放って置くわけにはいかないでしょ。」


沖田は刀を収めひょいと杏里を抱えて屯所へと向かった。
おろせ、放せと喚く(わめ)杏里を無視しながら。

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