空へ
放課後のチャイムが鳴り、両手を上げて伸びをしながら隣りの陽菜に声をかけた。

「う〜ん!やっと終わったな」

「ツトム君、ヨダレ」

ハッと気付いて口元に手をやると、すごい湿っている。
机を見ると、ノートに地図が描かれていた。

「げッ!このノートもう使えへんやん!!」

「あはは、授業中爆睡してたもんね」

「バリ眠かったもん、しゃーないわ。ちょっと顔洗うてくる」

そう言って、席を立つと、陽菜が呼び止めた。

「あ、ツトム君」

「何?」

「私今から学級委員の会議があるから、軽音先に行っててよ」

いつもの陽菜の授業態度を見ていると、陽菜が学級委員だということを忘れてしまう。

俺は「はいはい」と返事して、顔を洗いに行った。



軽音部室に着くと、一番乗りだった。

「あら、誰もおらんやん」

ギターを手に取り、大事マンシスターずバンドを弾いていると、良美が部室に入って来た。

「オッス」

挨拶すると、良美はコクッと頭を少し下げた。

やっぱしゃべれねーのかな。
聞いちゃいけないような気がするから聞けないけど、気になる…。

「理沙は?」

良美と理沙は同じクラスだ。

良美は「いない」と言う変わりに首を横に振った。

「そか。陽菜は学級委員の会議で遅れるみたいやわ」

返事なし。

なんか、気まずいなぁ…。

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