空へ
会話が続かないので、途中で止めたギターを再度弾き始める。

「負けちゃうこと投げ出しちゃうこと…」

ボソボソ声で自然と口が歌ってしまう。

途中からキーボードの伴奏が入った。

「おッ!」

上手い入り方。

調子に乗って、声を大きくして歌った。

「それがー1番肝心ー」
良美も口パクで歌っている。

目が合うと、良美はニコッと笑った。

なんか充実感…。

「上手いやん!ってかようこんな昔の曲知ってるなぁ」

良美は「れ・ん・しゅ・う・し・た」
と、キーボードを弾くフリをして口パクした。

「そーなんや。な、もっかい始めからやろや!」

良美がコクッとうなずく。

さて始めるかと、良美がキーボードを弾いた時に、ちょうど陽菜が部室に入って来た。

陽菜は急いでいる様子だ。

「ちょっと二人とも、来てッ!」

俺と良美は一瞬目を合わせ、陽菜に付いて行った。

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