《完》Honey*TRAP!! 〜副社長の甘い罠 LAST・TRAP〜
「あ…………」



……言葉が出ない。



なんて言っていいか
わからなかった。



美香子さんはクスリと
優しく笑って続ける。



「柊弥を本当に幸せにして
くれる人に、ちゃんと彼は
出会えたのね。

あなたが柊弥に“愛する”
気持ちを取り戻させてくれた。

だからあたしの想いも、
ようやく彼に通じた……」



「そ……んな……」



再びあふれる涙を
押さえようがなかった。



嬉しい気持ち。後悔。
情けなさ。

そして――柊弥への想い。



うまく言葉にできない
全部の感情が、熱い雫に
のせられて頬から流れ落ちる。



「……柊弥なりの、けじめ
だったんでしょうね。

自分は本当に過去のことは
忘れて、今大切な人を
守っていきたい。――そう
言ってたから」
< 162 / 227 >

この作品をシェア

pagetop