K・M ~カイとミワの恋物語~
小学生に上がってすぐのこと。
「…なんでおねーちゃんをうちにつれてきたの?」
母さんにそんなことを聞いた。
すると母さんは、
「あの子、産まれてすぐ両親に捨てられて今までずっと1人で頑張って生きていたの。だからその分私たちで優しさを与えていきたいと思って引き取ったの。だけどまだ優しさの受け止め方が分からないからあの子は悪い子のフリをしてる」
悲しそうにそう言った。
「だからね、受け止め方が分かればあの子もきっといい子になるわ」
それから母さんは俺の頭を撫でながらこう言った。
「だからカイもいっぱいおねーちゃんに優しくしてあげてね…」
そのとき俺はまだ小さかったから言ってることの半分も理解できていなかった。
ただ、『可哀想な』人だということはなんとなく分かった。
「…わかった。おれおねーちゃんにいっぱいやさしくする!」
その日から俺は姉にたくさん話しかけた。
学校であったこと、友達のこと…とにかくなんでも話した。
それが小さな俺にできる気遣いだと思った。