K・M ~カイとミワの恋物語~
ずっと俺が独占してると思ってたその笑顔。
もう俺じゃなくてもその笑顔は引き出せる。
俺の笑顔。
「…大好きな…」
盗らないで。俺のねーちゃんを。
そんな気持ちが心を埋め尽くして。
その日は泣いた。1人で。
姉は結婚した『夫』と一緒に別の住居に引っ越すことになった。
その方がいいかもしれない。忘れられるから。
引越し用のトラックに姉の物が積み込まれていくのを俺はただただ見ていた。
サヨナラの準備はできたよ。
もう心残りはないから。
「ねーちゃんの幸せが俺が望んでたもの」
そう自分に言い聞かせないと別れられなさそうだった。
荷物全部積み終わった。
もうお別れ。そう思ったとき。