君を忘れない
今日は後期が始まってから初めてのサークルだから人が多い。



と思ったのだが、予想とは違い人が少なく次々と試合が入る。


「疲れたあ。

ちょっと休憩」


みんな楽しそうにバドミントンや話をしているのを尻目にロビーへと歩き出した。

秋といってもまだ九月ということもあり、動き出すと暑く感じるうえに三試合連続で真剣な試合をしたので喉が渇いた。

ロビーに置いてある自動販売機でスポーツドリンクを買って、ソファーに座ると四盛がこちらに気づいて体育館からこちらに向かってきた。


「トラさん、今日行きますからね」


サークル終わった後のこちらの予定など当たり前のように聞きもせず言ってきて、僕には断る権利がないと言わんばかりに隣に座ってきた。

この流れを一体今まで何度やってきただろう。

今日は偶然にもお互いが電車で来たということもあるだろうし、こいつにとっては更に都合が良くなったのだろう。


「付き合っているんですか」


唐突に聞かれたので最初は誰のことを言っているのか分からずに、わざとらしく困ったような表情を作った。


「誰と誰が」


更にそう答えると、呆れたような顔をしてため息をついた。
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