不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「……――ッ!」
智也から再び流星に視線を移した時には、流星はもうこっちを見ていなくて。
何事もなかったかのように、流星は隣に座るケント君と喋ってる。
そう……だよね。あたしになんか……興味ないよね。
流星に勘違いされたらどうしようとか、一人で勝手に慌ててバカみたい。
そんな心配する必要なんてなかったのに。
流星はあたしのことなんて何とも思ってないのにね。
あたし、ホントバカ……。
2日間連続で喋っただけで、何を期待してたんだろう。
自分だけ特別だなんて思いあがってさ。
やっぱり、智也の言う通りだったのかも……。
ズキズキと痛む胸にそっと手を当てて、無理矢理つくった笑顔を智也に向ける。
「お腹すいちゃった。なんか食べよっか?」
「だな」
周りにいた女子生徒達は、智也が動く度に意味もなくキャーキャーと声を上げる。
あたしは肩に回された智也の腕を振り払うことなく、食堂の奥に足を踏み入れた。