わがままな彼女。
恒也Side

はぁ。

ほんと呆れる。

美愛は、やっぱり猿だった。

学習能力というもんがない。

猿でも、学習能力くらいはあるんじゃないのか?

猿以下だな。

…美愛はまた寝ている。

しかも次は体育。

こいつのせいで皆着替えられない。

はぁあぁあぁあ。

「みーあ」

こう呼べば起きるかと思って、あまーい声で呼んでみた。

「ん…」

「起きろー」

「はぃ。起きるぅ。」

いやいや。

お前の声も甘いな。

やばい、やばいぞこれは。

んー、なんというか、…理性?

「次、体育。お前いるから皆着替えらんねーの」

それでも、まだ起きようとしない美愛。

寝ぼけてるな、これ。

すると。


ガバッ


いきなり、起きる。

やっと…理解したのかな?

「ごめん、美愛、しらんかった!!」

時間割くらい、ちゃんと把握しとけよなぁ。

バカが。

「早く、出ないと、俺ら脱ぐよ…?」


ボッ


と顔を真っ赤にして、出ていった。

「…わかりやす…」

かわいーな、あいつ。

「ちょっと、美愛チャン可愛すぎじゃね!??」

爆笑しながら言う龍斗。

「いーから着替えろよ」

呆れながら言う俺。

「お前、ドSだよなー」

は!?…そんなの…

「知ってる」

好きな奴、限定ね。




―――――――――――

今日の体育は、サッカーだった。

珍しく、女子と合同。

…美愛、サッカーなんて出来んのかな?

そしたら


おぉー!

ひゅー!!美愛チャンさいこー


沸き上がる歓声。

その方向を見てみると…

「…すっげ…」


バコンッ


と音がして、転がっていくボール。

蹴ったのは、美愛だ。

あいつ、猿のくせして、やるな。

「猿の分際で生意気な…」

「美愛チャンさー、すごくね?」

たしかに、すごい。

授業中、寝るくせして、頭いいし。

10番以内には、必ず入ってる。

でも、俺はそんな美愛が好きなんだ。

「好きになんなよ。」

そう、龍斗に言った。
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