涙人


すると志帆は、ゆっくり頷いた。


「…わかった。何かあったらメールして」


そう言い残すと、志帆は足早に病室を出て行った。


一人になると、急に涙が溢れ出てきた。


「あ…たし……っ…!!」


ほぼ悲鳴に近い叫び声をあげながら、あたしは泣いた。


こんな状況なのに、何も思い出せないなんて。


…最悪だ。


「何でっ…!! 思い…出せっ……ないんだ…よ!!」


自分で自分の頭を殴りつける。


…もう、嫌だよ……。


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