涙人
「ヤダ。止めない」
「っあ!!」
ふいに、雫があたしの耳を噛んだ。
何回も何回も……
でも、優しく噛んで―…
「…っ止めてよっ!!」
耐えきれなくなり、振り返って雫を睨みつける。
「…あ……」
口元を押さえ雫を見ると、あの意地悪そうな笑みをあたしに向けていた。
「やっと俺の方を見てくれた」
「別に… 嫌だっただけだし」
「本当に可愛いな…」
あたしの髪の毛をくしゃくしゃっと掻き回し、ぼそっと呟く雫。