ペテン師の恋
普通に考えたらそうかもしれない。








母親の死を初めて知り、殺した犯人が目の前にいる。








そんな事実を知ったら、殺意が芽生え、復讐心に駆られてしまうのかもしれない。








だけど、そんな気持ちにはならない。真実を受け入れたくない。








愛しているから…







「あなたと同じよ。この意味、わかるでしょ?」







私は、朱一に駆け寄り、抱きついた。







「ずっと、会えなくなるなんて耐えきれないよ…」







朱一は抱き返してはくれなかった。







それが、とても辛く、切なかった。






憎みたいのに、憎みきれない。それはお互い同じなのに、朱一は無理矢理にでも、私と離れる気なのだろうか。







「わかった。分かったから、今日は帰してくれないか?俺も、考えたい…」







私の肩を掴み、抱きついた私を離した。







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