ペテン師の恋
そんな私にはお構い無しで、朱一は私には小さい絵を渡した。





自分は大きめの絵を持ち、



「ついてきて」




と、言うと、一人で勝手に歩いていった。





私の意志は無視なわけ?





「待ってよ!」





仕方なく私は、小走りで朱一の後ろを追った。





追いつくと、朱一は私をチラッとみると、いつもと違う、優しい笑みが見えた。





私は、驚きと嬉しさが溢れて、つられて微笑み、少し後ろから朱一を見つめた。





その視線に気づいた彼は、少し驚いた顔をしたが、やがて表情を緩ませた。






「やけに楽しそうだね」





彼の問いに、少し恥ずかしくなり、いつもの高飛車の口調で話した。





「別にそんなことないわよ。ただ、人にこんなこき使われるなんて何年ぶりかと思って」





自分でも呆れるくらい、私の素顔は可愛いことをいえない、天の邪鬼だ。





こんな性格だから、演技していないと男の相手なんて出来ない。





だけど、朱一の前では逆に演技が出来なくなっていた。





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