【原作】妖精なアイツ
「美希に前メールで画像送ったよね?
その人!」



のり姉はアザラシを見るのを止め、
こちらに体を向けた。



「メール…?」



そういえば、
東京に来る時にのり姉とメールしてて、
男と写ってる画像があったような…?



でもあれって、
高校生だったから、彼氏じゃないと思ってたけど…
もしかしてその人かな?



私はその日のメールを開いてみた。

「あ、
そうそう!

その人!
でも内緒にしといてね。

生徒と付き合ってるなんて学校にバレたらヤバイからさ」



私の開いたメールを見て、
のり姉が私に耳打ちする。



「う…うん。」



「じゃあ、次は何見に行く?
イルカとかがいいかな。」



のり姉はまたはしゃいで、
私の手を引っ張っていく。



でも私は、
うわの空だった。



なんで…



のり姉の彼氏が
染五郎さんなんだろう。




さっきの画像には、
染五郎さんが写っていた。
『あ、あの、
どこかでお会いしませんでした?』




『いや…今日が初めてだけど?』



ああ…
そっか。



このメールで染五郎さんを見たから、
どこかで会った様な気がしたんだ。





のり姉と…
染五郎さんが…




私は、
その事だけしか頭になかった。
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