春は来ないと、彼が言った。
…………………。
………睦くん、本当は見てたんじゃない?
「…なんで知ってるの、睦くん」
「勘だよ、勘。オレはずっと職員室にいたからさ、証人ならいるよ」
わたしの考えなどお見通しだ。
睦くんは薄く笑ったままこちらを見ている。
…こんなときに思うのも変だけど……吸い込まれそうに綺麗な瞳、だなぁ。
「それで、恢はキレて帰ったの?」
「……キレたっていうより…」
あのとき、は。