春は来ないと、彼が言った。
「ちょっ……ちょっと待てっ!!」
歓喜に浸ろうとした瞬間、強く両肩を掴まれた。
ぐいんっと意識が現実に引きずり込まれる。
反射的に目を見開き、目の前で焦った顔をしている恢を凝視する。
な、なになになに!?
えっ、えええっ!?
わたし、なにか変なこと言った…!?
今のは完璧だと思っていただけに、ぶわっと冷や汗が流れ出る。
慌てて自分の発言を何度か反芻してみたけど、おかしいところは見つからなかった。