春は来ないと、彼が言った。


「っ、はな、椛!!!あれ!!!」



切迫した声に飛び上がりそうになりながら瞳を開いた。


恢が興奮した様子でどこかを指差している。

身体ごとそちらに向けたとき、呼吸が止まるような錯覚を覚えた。


視界に飛び込んできたのは。



「なに…これっ…!!」






―――桜の開花、の瞬間だった。

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