春は来ないと、彼が言った。


「し、してないよ!!!!!」



思いのほか大きな声が出てしまい、慌てて自由な左手で口を覆う。

恢もはっとしたように口を噤んだ。

……キス、キス。

なんのことかわからない。

するわけないのに。

記憶の糸をどうにか辿る。


あの日、廊下で、睦くんと―――




“もーらいっ”




「あああああああああああ!!!!!!」


あ、あれのこと!?
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