春は来ないと、彼が言った。



がたがたに歪んだぶさいくな文字じゃない。

あんな不安でいっぱいの想いは入ってない。

迷ってなんかもいない。


ただ、純粋に。

見返りは求めないで。


わたし、見たかったの。




“恢の笑顔が見れますように”




「―――妃ちゃんに頼んで新しい紙をもらったんだ。前のお願い事はびりびりに破ったから、こっちが有効だよ」



そう笑いかけるのと同時に、呼吸が苦しくなった。

< 229 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop