時空の森と悪戯な風

携帯の着信音が鳴った。



『どうしたの?元気ない声しちゃって、風邪でも引いたの?』



菜月からだった。



「ん…寝不足だからかな」



『アタシさぁ、弥生に謝らなくちゃならないの。噂の森の場所なんだけど、友達に教えてもらって、先に行っちゃった…ゴメンね』



「あ、別にいいよ。会いたい人に会えたの?」



『お婆ちゃんに会えたよ。何かさ、自分を変えれそうな気がするの。弥生も悩み事があるなら、あの森に行ってみたら?』



何となく菜月の言う意味がわかる。



【亡くなった人に会える森】



それは、自分を変える“きっかけ”を与えてくれる、不思議な場所なんだ。




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