時空の森と悪戯な風

“俺は弥生の何だったんだ”



アタシの彼氏だけど、智治の存在を知ったら疑ってしまうよね…



別れてもいいと思っていた。
いや、そう言い聞かせてたのかもしれない。



忘れられない男がいながら、圭介と付き合ってたなんて。



自分自身と彼に嘘をついてきたんだ、このまま連絡も無く、サヨナラになっても仕方ない。



『弥生…素直になりなさい。正直に話しなさい』



あの時に落ちてきた銀杏の葉を見るたび、父から言われた言葉を何度も思い出す。



ずっとモヤモヤしたままでいても、何も解決しない。



「うん!森に行こう!」



今からだと…

もう少しで日が暮れるからダメだな。

例え会えたとしても、暗い森の中を歩くのは怖すぎる。





< 31 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop