【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
好子さんは舌を出しておどけて、三吉さんの湯飲みに、お茶を注いだ。



「お待たせを致しました。
焼き魚御膳と、季節野菜の天ぷら定食になります」



注文から20分位だろうか。

4人分、一緒に来た。

取り皿を貰い、ご飯とほぐした焼き魚を入れ、携帯用の零士専用のスプーンで食べさせる。



「マンマー!」



「零士は箸いらないの!」



零士はテーブルに掴まりながら立ち上がり、私の箸などで遊ぶ。

ふりかけがないからか、ご飯よりも焼き魚ばかり食べる。

私が「零士」と名前を呼びながら怒った真似をすると、零士は聖さんの胡座をかいた左足に座った。
< 21 / 100 >

この作品をシェア

pagetop