【完】私と息子に幸せをくれた人(中篇)
「………翔子?」



その時、私は後ろから誰かに呼ばれた。

―――元カレで、零士の父親である貝谷勇士ーカイタニユウシーだ。

私は咄嗟にドアを閉めた。

零士に会わせる気がないから。



「元気か?」



「えぇ、お陰様で。お仕事ですか?頑張って」



ーーバタンッ

言うだけ言って、私は楽屋にパッと入った。

遊んでる聖さん・零士・三吉さんと、荷物を整理してた好子さんが私を見て来る。

私は天井を見上げながらため息を溢す。

会うなんて思ってなかったから、心がギスギスする。

異様な私に、零士を抱えた聖さんが、近付いて来た。
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