はつあい ~彼と私の30日間


「どうしたの?仕事で、なんか悪いことでもあった?」


そう聞いた私に、宗ちゃんは首を振ってこう答えた。


「菜々実には関係ない」


だけど、宗ちゃんはなんだかとても怒っているようで、そして悲しそうだった。

でも私みたいな子供に話しても仕方ないって、そういう雰囲気だった。

確かに、仕事の事は、私じゃわかんない。

それでも、悩んでいるならどうにかしてあげたかったし、力になりたいって思った。

落ち込んで元気のない宗ちゃんを見ていて、私なりに母性本能が擽られたのかもしんないし。

そしてもし機嫌を治せれば、あわよくば数学の宿題もどうにかできるかもしれないなんて考えていた。

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