踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>


 真仁が目の前にいる事に戸惑う戒を、男たちは制するように腕に力を込める。

「何故だ」

「解ってるだろ」

 青年は静かに発し、戒を見つめた。

 10mほどの距離は、近くも遠くも感じられて妙にもどかしい。

「翼か……彼には隠せなかったんだね」

 愁いを帯びた笑みに溜息を乗せる。




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