踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>

 大使館──戸塚は、ディスプレイに映る真仁に勝ち誇った表情を浮かべる。

「!」

 扉が開く音に筒井が振り返ると、そこに翼(つばさ)が立っていた。

「ここには入るな」

「まあ良いじゃないか、真仁が傷つく所を見せてやろう」

「! 真仁?」

 翼は足早に戸塚に近づき、画面を確認して小さく笑ったが向かいにいる戒に眉間にしわを寄せた。

「なんで戒が?」

「真仁は奴が好きなんだろう? まんまとおびき寄せられたよ」

 戸塚は、褒めてくれとでも言うように発した。

「絶対、取られないようにしてよ」

「解っている」


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