踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
「戒を追いかけていったから、てっきりそうだと思ってた」

「お前の頭の中はどうなっているんだ」

 さすがに戒からも溜息が漏れる。

 翼は戒を兄のように慕い、戒がハンターを辞めるとそのあとを追いかけたのだ。

「戒が僕のことを考えないなら、真仁に協力しているんだろ? それは僕も同じ考えだ」

 死ぬことは怖くない。

 僕は戒の行く方向に進む──翼は凛(りん)とした瞳で発した。

 大きな瞳で見上げる翼に驚き、その鋭い瞳を一度、瞼に隠した。

「詳しく教えてくれ」

 戒の言葉に、そこにいたハンターたちはワッ! と歓声を上げた。

「ありがとう。改めてよろしく」

 真仁は緩やかな笑みを浮かべ、戒に手を差し出す。

 戒もそれに応え、握手を交わした。

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