踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>

 真仁からの通信を終え、戒は改めて目の前の死体の山を見つめる。

 ディスプレイに折り重なるように表示されているクローンコード──乱雑に積まれた死体は、とても綺麗と呼べるシロモノではなかった。

 コンクリートに接している死体はどれも野犬に食い荒らされ、見るに堪(た)えない状態だ。

「なんで見ちゃだめなのかなぁ」

 見るなと言われた翼は、不満げにつぶやく。

 ヘッドセットのディスプレイの表示で、どんな光景なのかは想像がつくというのに、いっぱしの扱いを受けていないようで眉を寄せた。

 数分後、戻ってきた戒を確認し2人は真仁たちのいる地下に足を向ける。

< 50 / 176 >

この作品をシェア

pagetop