踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>

 地下に戻ると、真仁たちは戒から送られてきた映像を調べている最中だった。

「どうだ」

 戒は、渡された水を飲みながらパソコンをいじる真仁に問いかける。

「ざっと調べただけでも50体弱はあるね」

「カメラの存在を知ってだと思うか?」

「いや、たまたまここに積んでいただけだと思う」

 ディスプレイから目を外し、足を組む。

「世の中に理不尽なことなんかごまんとある」

 深い溜息を漏らし発した。

 しかし濃い灰色の瞳は、その心の奥を覗かせてはくれない。
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