私の愛した人
「これってNo.201圭吾の映像?しかも人間の姿でこんなに近く…」

【人間の姿】…?

御冬さんの言った言葉が私の中にとどまった。

圭吾は人間じゃないっていうの?

そんなのありえない。

だって圭吾はちゃんとした男の子で、私と同い年で、普通の人だもん…

何かの間違いに決まってる…

「あなた、圭吾とどういう関係なのよ?」

御冬さんの声が遠いところから聞こえた気がした。

けれど、私の頭のなかは真っ白で何を話せばいいかも分からない。

「ちゃんと話してっ?吸命鬼は危険な生き物なんだっ」

吸命鬼…それがなんなのかも私は知らないのに…

私はやっとのことで言葉を発した。

「吸命鬼ってなんですか?
それがわからないと私はちゃんと話せません…」

圭吾の第二の存在名…
それがなにかもわからずに私は圭吾のことを話すことはできない。

五島さんも可憐も御冬さんも顔を見合わせて困ってしまった。

しばらく誰も話さなかった。

長いようで短い沈黙が私の心を締め付けた。

やはり、この人たちは普通じゃないんだ…

痛いほどに体全身でそう感じる。

私は知らないほうがいい真実を聞いてしまったんだと…

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