私の愛した人
私の目が覚めたときには、病室のようなところのベットの上にいた。

ただこれが普通の病院でないことはすぐにわかった。

なぜって、私の頭には意味の分からない装置が付けられていたから。

カーテンごしに御冬さんや可憐、五島さんの声が聞こえてきた。

でもそれにまじって他にもなにか聞こえる。

『あなたは誰?』

『今日のことは内緒だよ?』

これはあの時の彼との会話!?

「なにやってんの!?」

カーテンの内側から飛び出して私は声を張り上げた。

「起きたか!
すまんが桜、おまえの記憶を見させてもらった」

可憐が少しだけ困ったように笑った。

だが、隣にいる二人はまじめにさっきから私の『記憶』がうつしだされたスクリーンを見ている。

「やっぱり吸命鬼に会っていたんですか…」

「これはNo.201。圭吾ね」

━━…えっ?

御冬さん達に文句を言ってやろうとした瞬間。

この場に出てくるはずもない名前を聞いた気がした。

「け…いご?」

「あら、なにか知ってる顔ね?」

━━知ってる…だって圭吾は私の恋人だもの…

私の脳裏に圭吾の顔が浮かんだ。

その瞬間スクリーンにも圭吾の顔が浮かんだ。

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