私の愛した人
最悪な出来事に別れを告げたあと、ギブアップした私はベンチで一休みをした。

「桜は怖がりだなぁー」

圭吾は無邪気にケタケタと笑う。

「仕方ねぇッ。アイスでもおごってやる」

無言でうなだれる私の頭を軽く叩いて、圭吾はどこかへ走っていった。

「ホント…圭吾楽しそうだなぁ
子供みたい」

はしゃいでいる圭吾見て私は小さく笑い声をもらした。

そんなときだった。

見覚えのある長い髪の女性が私の前を通り過ぎると同時に、私の手の中に紙を押し込んできた。

「ちょ…え?」

女性は何も言わずに平然とした態度ですたすたとさっていく。

「み…ふゆさん?」

私は手にねじ込まれた紙に目を落とした。

紙には文字らしきものが少し見えて慌てて紙を開き、その文章に目を通した。

『逃げて』

最初に目に飛び込んできたのはその三文字。

『今から送るメールの頭文字だけを読んで』

次に飛び込んだのはその文章。

私がメッセージを読み終えるやいなや、ケータイの着信音が鳴り始めた。

私は急いでメールを開いた。

『なんでメアドを知っている
かですって?
まぁそんなのもわからないの?
ガキはイヤねー
汚いし
頼りがいないし』

ちょっと待て。

このメール失礼すぎないか?

確かにメアドを知っているのは不思議だけどさ!

私の頭はもうさっきのメッセージではなく、文章にたいして意識を向けていた。

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