私の愛した人
「え、圭吾まさか知ってたの?」

「…う、うっせうっせ!!」

赤い顔を隠そうとしたのか私と目を合わせてくれない圭吾。

でもそんな圭吾が可愛かったから、私は何も言わないであげた。

観覧車から降りてきた人たちが私たちの横を通り過ぎていく。

通りすがりのみんなが「ジェットコースターが」とつぶやいていた気がしたけど、その時の私は自分の幸せが大きすぎて気にしていなかった。

私たちの順番が回ってきて、中に乗り込むと狭い空間に改めてお互いを意識して、自然と黙り込んでしまった。

「こ、このあとどこ行こっかー?」

気まずいのが嫌で先に口を開いたのは私だった。

「あー…。遊園地出て、行きたいとこあんだけどいい?」

「全然いいよ。どこ?」

「内緒」

ニッと圭吾が笑う。

「えーどこぉー?」

「さぁーなー?」

そこからはいつもどうりの二人らしくふざけ始めた。

「あ、桜!見てみ!」

圭吾はジェットコースターの方を指差す。

私は窓ガラスに手を当てて、ジェットコースターの方を見た。

ジェットコースターの交差したり、曲がったりした線路がまるで『ハート』の形に見えた。

「すっごーい…」

< 38 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop