私の愛した人
「こんなの見たら、本当に幸せになれそうだな」

圭吾が後ろから抱きついてきた。

暖かい圭吾の体温に自然と頬がゆるむ。

ふと視線を地面の方に向けると、見覚えのある三人が園内にいた。

アイスを食べながら歩いている可憐と御冬さん。

観覧車の近くのお土産屋さんにいる五島さん。

私の背中には冷や汗が流れた。

今頃になって御冬さんのメッセージが頭をよぎった。

『頭文字だけを読んで』

そのときふと御冬さんがこっちを見た。

目が合った気がして心臓が跳ね上がる。

━━…ドクン

あのメールの文章…メッセージはなんだ?

━━ドクン…ドクン…

『なかまがきた』
そして最初のメッセージ
『逃げて』

━━ドクンドクンドクン

「桜?」

何も話さない私を心配したのか圭吾が顔を覗き込んできた。

地面が徐々に近づいてくる。

━━ドクン!

「圭吾!早く次いこ!
遊園地から出るんだよね!」

地面に着いたと同時にできるかぎりの笑顔で言うと圭吾の手を握り、出口へと歩きだした。

できるだけ人の多い場所を通って。

少しでも圭吾を隠さなくちゃ…





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