私の愛した人

｢気やすく名前で呼ばないでくれる？
新入りに名前で呼ばれるなんてヘドがでそうだわ｣

どこまでも失礼な人だな！

私は話したことも顔も見たこともない男性に同情した。

｢失礼しました御冬さん。｣

男性は慣れているのか怒らずに丁寧に言い直す。

そんな人に謝ることないって！
つけあがるだけだよ！

｢わかればいいのよ
No.32のくせに生意気なこというほうが間違いだけど｣

ほらね

｢いい加減僕の名前覚えてくれませんか？
いつまでも会員番号で呼ばないでくださいよ｣

会員番号？

なにかの組織ってこと？

｢あんたの名前なんて覚えてないわ
あんたなんかNo.32で十分よ！｣

女性はふふっと小さく笑った。

ヤな女ーーｯｯ！！

｢御冬さん…
また忘れたんですか？
僕の名前は五島要ですよ｣

｢あら？
部外者がいるのにそんなにあっさり名乗っていいのかしら？｣

わーこの人性格悪い！

｢そういえばそうですね…
でも御冬さんももうフルネームばれてますよ？｣

｢どっかの大バカ役たたずの新入りのせいよ｣

御冬という女性はふんっと言って、五島という男性をけなした。

なんかこの二人、女王様と奴隷みたい…
ＳＭプレイですか？

その時、五島さんがクスクスと笑っていった。