私の愛した人
「なんのことかわからないんですけど?」

私はしらばっくれようとする。

「こうやって話しててもらちがあかないわね…
無理矢理にでもついてきてもらおうかしらっ!」

ライダースーツの女性が私の腹部に蹴を入れる。

ヒールの高いブーツで蹴っちゃダメでしょ!?

お腹に激痛が走って私の意識はもうろうとする。

女性はケータイのようなものになにか話し掛けているが、ちゃんと聞き取れない。

女性が『それ』をしまうと私の手足を縛った。

私が身動きできなくなるとすぐに黒い車がきた。

その車から誰か男性だと思われる人が出てきて、私に目隠しをまいて車に運び込んだ。

私もしかして拉致られてる…!?

今日最悪すぎるじゃん!

なんてのんきに考えている場合ではない。

車はすぐに止まった。

いや、車は止まっているけど車自体が動かされている?

まるでエレベーターに乗せられているような感じ。

「どこにつれていく気っ!?」

私はどこに誰がいるかもわからず怒鳴った。

無理矢理体を起こしたから、手足を縛った縄が肌に食い込んで痛かった。

「あら、まだ意識があったの?」

あの女性の声が車の外から聞こえる。

「美零さんあまり目撃者を刺激しないでください」

男性の声が前の方から聞こえた。

同じ車内にいるらしい。
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