Don't touch me
廊下を歩く。



「そういえば、外村。お前、彼女とはどうなったんだよ?」

「…別れた様な感じかな」

「そうか…」



流水はクラスを一つ一つ見ている時も無言だった。

それが心地好かった。



三つ目のクラスに、その少女はいた。

少女は女性の輪の中心にいた。



「あの人だ」

「よし、行くぞ、外村」

「ああ」





「すみません。ちょっといいですか?」

「はい?」



少女はこちらを見ると、少し気まずそうな顔をした。



「私に何か用ですか?」

「傘を返しに」



そう言って、傘を差し出す。

傘の端を握り、少しでも相手との距離を作る。

それでも『発作』は好男を苦しめた。



「…どうも」


少女が受け取ったのを確認すると、身体の力が抜けた。

倒れ込みそうになる。

踏ん張る。



「それじゃ、これで」



一刻も早く、立ち去りたかった。


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