URAGAESHI
本文
―カイン6歳
―アヴェル3歳



煉瓦造りの家は、蔓の延びた植物に守られ温かさを保ちながら、共に家族をも包み込んでいる。

家の目の前には、広い庭と、遠くから来た小川に小さな湖。


その先には、僕たち兄弟が見たこともない大きな森や山。
深い谷に薄暗い洞窟。


そう、
未知の世界が広がっているようだ。




そんなことに、興味を抱きつつも庭で遊ぶ僕たちに声をかけたのは…。










「カインたち!こっちへいらっしゃい。」


僕たちを生み、育ててくれた母親。

女性らしい高い声で、家の前から呼び掛ける。



「「はあい。」」







スッと立ち上がれば、僕は弟の手を引き母親の前まで歩いて行く。





「今日から、お手伝いをして欲しいの。」


「お手伝い?」

「僕もぉ?」






こんなことを言われるのは初めてだった。
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