チェリー
「俺は、お前がないてる意味がわからへんけど…」

「なんか、寂しくなってん。私な、謙太郎ちゃんが欲しい」

「…エロチック」

「そういう意味とちゃう!!」

も~、なんて言いながら、話を続ける。

「ずっと謙太郎ちゃん好きで、謙太郎ちゃんしか見えへんくて。だから、和くんに告白されて和くん傷つけてたんかなぁって…」

「ほんまに…」

しのぶくんがフッと笑う。
私は訳が分らなくて、少し首をかしげる。

「不器用やな」

「え?」

「和也は、ほんまにお前のこと好きやからお前に好きやって言ったねん。だから詩織も謙太郎に好きって言ったら?」

「そんな簡単に…」

「簡単ちゃうの?二文字やん」

「そうやけど…」

しのぶくんは軽く笑いながら、私の頭を撫でる。
その手は温かい。

「和也に返事したんか?してへんのなら、返事せぇへんとな」

「うん」

しのぶくんに家まで送ってもらう。
ほんまにお兄ちゃんみたいで大好きや。

「バイバイ、ありがとう」

「おん」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

しのぶくんはすぐに帰って行く。
家に帰っても考えるのは、謙太郎ちゃんの事だけだ。
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