1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
「お前、元気ねぇな」
「へ?」
聡ちゃんの夕御飯を温め直していると、あたしの顔をのぞきこんできた。
「そんなことないよ?」
「嘘つくな。いつもバカみたいに話しかけてくるくせに、今日はずっとボンヤリしてるじゃねぇか」
バカみたいにって!失礼だな!
「あたしにだって悩みくらいあるよ!」
「悩み? 何だよ?」
はぁ。なんか今は話したくないな。
「旅行から帰ってきてから話す。今はあんまり考えたくないや」
「……無理には聞かないけど。しんどかったら言えよ?」
「ありがとう」
無理やり聞き出そうとしない聡ちゃんはやっぱり優しい。大好き。
だから今は明日の海旅行のことだけ考えていよう。
「明日は何時に出発?」
「適当に午前中に出発でいいんじゃね?」
「ダメだよ。恒さんと蘭さん達に教えなくちゃいけないんだから」
…………………………。
味噌汁のお碗をテーブルに置いてから携帯をカチカチと操作していると、聡ちゃんはあたしの手から携帯を取り上げた。
「……何でそんなことする必要があるんだよ?」
ん?なんか怒ってる?