1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「大人数のほうが楽しいかと思ってメールで誘ってみたら、みんな行くって」



テルミは無理だったけど。もう少し早く教えてくれたらよかったのに。聡ちゃんはテーブルの上におでこをつけてうなだれている。



「どうしたの?」


「どうしたのじゃねぇよ! 恒は分かるけど、何で蘭達の連絡先まで知ってるんだよ!?」


「教えたからに決まってるじゃん。たまに学校帰りに会うんだよね。みんないい人達だね」



何故かあたしのあだ名は姐さんになってるんだけど。タメ語で話していいって言うのに敬語だし……。



「行き先は教えてないんだろ?」


「うん、だってあたしも海ってことしか聞いてないもん」


「よし、それなら明日はさっさと行くぞ。携帯は海に着くまで没収だ!」



ええ!?なんでぇ!?聡ちゃんはあたしの携帯をポケットに入れると、不機嫌な表情で麻婆豆腐を口に運んでいた。



うう〜みんなに時間と待ち合わせ場所をメールで教えたいのに……



夜、聡ちゃんが寝てからこっそり携帯を取り出せばいいか。



だけど、あたしの習慣づいた睡眠欲には勝てず


一度も目覚めることなく朝を迎えたのだった。




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