1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】
「海だぁ!」
青い空には真っ白な入道雲。車の中からキラキラに光るビーチが見えてきた。車は左折して、大きな白いホテルの敷地へと入っていった。
「今日はここに泊まるの?」
「ああ、全室オーシャンビューだってよ」
オーシャンビューって何だろう?潮風を浴びながら、車から降りた。
「ホテルも海も綺麗! どっちを見ればいいか分かんない!」
「バーカ。ほら、チェックインするぞ」
「うん!」
聡ちゃんは黙ってあたしのバックを肩にかけて、自分の荷物を右手に持ってくれた。
空いた左手を自然とあたしにかざしてくる。その大きな手をギュッと強く繋いだ。
「えへ」
「何にやけてんだよ?」
「嬉しいから!」
大好きな聡ちゃんと海に来れただけでも嬉しいのに、こんな綺麗なホテルに泊まれるなんて幸せなんだもん。
受付で聡ちゃんがチェックインの手続きをしていると、見覚えのある集団があたしの視界に入ってきた。