1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「そうだ。海を写メで撮ろう」



かごバックの中から携帯を取りだそうと探るけどない。



「あ、聡ちゃんに没収されたままだった」



貝殻でも拾って、聡ちゃんを待っていようとしゃがみこんだ瞬間……



「ラミカ!?」


「え?」



聞き覚えのある声。顔をあげると、大きな帽子にロングのワンピースを着たあたしの……



「お母さん!」



嘘……こんな所でばったり会えるなんて……


久しぶりに会ったお母さんは、笑顔であたしに歩み寄ってきてくれた。あたしも嬉しくて、お母さんの両手を取って喜んだ。



「久しぶり! どうしてここにいるの?」


「再婚した拓海さんと散歩に来たの。このビーチから家は近いのよ。手紙は届いた?」


「うん! 明日電話するつもりでいたの」



住所までは書いてなかったもんね。すると、お母さんの隣にいた優しそうなおじさんが挨拶してきた。



「こんにちは」


「手紙にも書いた再婚相手の拓海さんよ」


「こんにちは、初めまして。娘のラミカです」



よかった。きちんと笑って挨拶できた。だけど、やっぱりお父さんが大好きなあたしにとっては複雑な気持ちに変わりはなくて……




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