1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「ラミカの親父さんに挨拶しに行くか」


「お父さん、ビックリするだろうなぁ……聡ちゃんと別れたと思ってるから」


「ふーん。お前んち、ちゃぶ台あるの?」


「あるわけないじゃん。何で?」


「別に」



手を繋いで歩く道。


まだ頭がふわふわしてる。



「これからはずっと一緒にいられるんだよね?」


「ああ、俺の一番近くにいろ。これからは、ずっと守ってやれるから」



車に乗ってから、また熱くて深いキスをされた。


聡ちゃんのタバコの香り……


聡ちゃんのキスの味……



まだ胸がドキドキして、少し震えるあたしの右手を繋いで聡ちゃんは運転してくれた。



黒のスーツはお父さんに挨拶するために着て来てくれたんだね。かっこいい……



あたしの二十歳の誕生日ケーキを準備してくれていたお父さんは、やっぱりものすごく驚いていたけど



あたしと聡ちゃんのことを、心から祝福してくれた。



「県外でどんな仕事してるの?」


「バイク屋。ラミカを食わせるくらいは稼いでるから心配するな」



心配なんてしてない。不安なんてない。逆に希望で満ち溢れているよ。



その夜は興奮しすぎて、眠れなくて……ずっとずっと聡ちゃんと話していた。


空白の三年間と、これから先の幸せな未来の話を――……




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